徳島県佐那河内村「佐那のいちご塾」
担い手の確保へ
地域おこし協力隊活動で技術習得
_佐那河内村では、ブランドイチゴ「さくらももいちご」の担い手を確保するため、行政と農家が一体となって「佐那のいちご塾」に取り組んでいる。「地域おこし協力隊」に就任し、その活動としていちご塾に入塾し、就農に向け農業大学校と地元農家で基本2年間学ぶ。2年前に塾生の募集を開始。1期生として選ばれたのが中村賢一郎(なかむらけんいちろう)さん(37)だ。「後に続く人のモデルになったら」と日々、技術と知識の吸収に励む。
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_さくらももいちごを生産する佐那河内ももいちご部会は5年前の部会員が22人だったが、現在は18人に減少。産地の維持に危機感を募らせていた栗坂政史部会長は人材確保のため、行政などと話し合い、佐那のいちご塾の取り組みが始まった。
_この事業は「さくらももいちご栽培振興プロジェクト」の一環。協力隊の活動終了後、さくらももいちごの生産者として佐那河内村に定住する意志を持っていることなどが応募条件だ。
_塾生は協力隊の給与を受けつつ、農業大学校アグリビジネススクールで月3、4回学びながら、イチゴ農家の下で実際に栽培研修を受ける。2年目の中村さんは、昨年と異なる農家の下で研修に汗を流す。「教えてくれる方によって、やり方が違うところもあり、学ぶことはいろいろあります」と話す。
_中村さんの前職は理学療法士。「イチゴが好きだと話していたら、入院患者さんから佐那河内の取り組みを聞いたのがきっかけです」と話す。実家も非農家で、農業とは縁がなかった。しかし、自分で調べているうちに募集しているのが1期生ということが分かった。好きなイチゴで、それもブランド化されたものに携われることから一念発起して農業の世界に。
◎空きハウス活用も/1期生が来年独立
_このプロジェクトは、空きハウスの有効活用にもつながる。任期が一区切りとなる2年後には、空きハウスを利用する見通しが立つという。中村さんは「研修を終えたら、どんな土なのか分からないので研究して、苗作りから出荷まで、ほかの方と同じタイミングでできるように頑張ります」と意気込む。
_栗坂部会長は「今は手伝いが主ですが、来年4月に独り立ちとなります。本年度からの2期生3人も含め、部会で引き続きサポートしていきたいです」と話す。
右から栗坂部会長、中村さん、中村さんの研修先農家の里さん